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作業手順書の作り方|製造業で抜け漏れを防ぐポイント

作業手順書を作ることになったものの、

「どこまで細かく書けばいいのかわからない」
「自分ではわかるけれど、これで他の人にも伝わるのだろうか」

と悩んだことはないでしょうか。

私も製造業で働くなかで、作業手順書を作成したり、既存の手順書を見直したりする機会があります。

そこで難しいと感じるのが、普段からその作業をしている人ほど「これくらいはわかるだろう」と無意識に手順を省いてしまうことです。

作業手順書で大切なのは、文章をきれいに書くことではありません。

その作業を初めてする人が読んでも、迷わず安全に作業できるか。

この記事では、製造現場で作業手順書を作るときに私が意識していることをもとに、抜け漏れを防ぐための考え方や作り方をわかりやすく紹介します。

作業手順書は「作業を知らない人でもできるか」で考える

作業手順書を作るとき、私がまず意識しているのは、**「この作業を知らない人が読んでも同じように作業できるか」**ということです。

作業に慣れている人にとっては、「部品をセットする」「設備を起動する」と書くだけでも意味が通じます。

しかし、初めて作業する人からすれば、

「どの向きでセットするのか」
「セットしたあとに何を確認するのか」
「どの状態になったら設備を動かしていいのか」

といった疑問が出てきます。

ここが、作業を知っている人が手順書を作るときに難しいところだと感じています。

頭の中では当たり前につながっている作業でも、手順書を読む人にはその「当たり前」がありません。

そのため私は、自分が理解できるかではなく、初めて作業する人が途中で迷わないかを基準に考えるようにしています。

もちろん、何でも細かく書けばよいわけではありません。細かすぎて読みにくくなれば、かえって重要なポイントが伝わりにくくなります。

大切なのは、作業者が「次に何をするのか」「何を確認するのか」を判断できることです。

そのためにも、いきなり文章を書き始めるのではなく、まずは実際の作業を一つずつ分解して整理していきます。

作業手順書を作る前に、まず作業を細かく分解する

作業手順書を作るときは、いきなり文章を書き始めるより、先に実際の作業を細かく分解した方が整理しやすいです。

たとえば「部品を塗装する」という作業があったとしても、実際にはそれだけでは終わりません。

作業前の準備、部品の確認、前処理、塗装の準備、塗装、乾燥、検査、片付けなど、いくつもの工程に分かれています。

まずはこうした作業を、実際の順番どおりに箇条書きで書き出していきます。

このとき私が意識しているのは、文章をきれいにまとめようとしないことです。

最初から完成形を目指すと、「どう表現するか」に意識が向いてしまい、本来必要な作業が抜けることがあります。

そのため、まずは

「何をするのか」
「何を確認するのか」
「どこで注意が必要なのか」

を思いつくまま書き出します。

一度すべての作業を並べてから順番を見直すと、「この前に確認が必要だった」「ここで工具を準備する必要がある」といった抜けにも気づきやすくなります。

手順書づくりでは、文章力よりも先に作業の流れを正しく整理することが重要です。

抜け漏れを防ぐために入れておきたい5つの項目

作業の流れを整理できたら、次は各工程に必要な情報を追加していきます。

私が作業手順書を作るときは、特に次の5つが入っているかを確認します。

① 作業前の準備

まず必要なのが、作業を始める前の準備です。

使用する工具、設備、材料、保護具などを明確にしておくと、作業途中で「これが足りない」と止まるのを防ぎやすくなります。

② 作業手順

次に、実際に何をするのかを順番どおりに書きます。

「部品を取り付ける」だけではなく、必要に応じて向きや位置、取り付ける順番まで記載します。

③ 確認ポイント

作業が終わったあとに、何を確認すればよいのかも重要です。

寸法、外観、数量、設備の設定値など、正常かどうかを判断する基準があると、次の工程へ進んでよいか判断しやすくなります。

④ 注意点・禁止事項

安全や品質に関わる部分は、通常の手順とは分けて目立つようにします。

「ここには触れない」「この状態では作業しない」など、絶対に避けたい行動は明確にしておく必要があります。

⑤ 異常が起きたときの対応

意外と抜けやすいのが、異常時の対応です。

異音がした、寸法が規格から外れた、設備が停止したといった場合に、そのまま続けるのか、作業を止めるのか、誰に連絡するのかが書かれていないと作業者は迷います。

手順書は正常時だけでなく、「いつもと違うときにどうするか」まで書いておくことで、現場で使いやすいものになります。

写真や図を使った方が伝わる作業は文章だけで説明しない

作業手順書を作っていると、文章だけではどうしても説明しにくい作業があります。

たとえば、部品を取り付ける向きや工具を当てる位置、仕上がりの良い例・悪い例などです。

こうした内容を文章だけで正確に伝えようとすると、説明が長くなり、かえってわかりにくくなることがあります。

そのような場合は、無理に文章だけで説明せず、写真や図を使った方が伝わりやすくなります。

実際の作業箇所を撮影して矢印で位置を示したり、OK品とNG品の写真を並べたりすれば、一目で判断できることもあります。

私も手順書を作るときは、**「文章を読まないとわからない部分を、写真1枚で伝えられないか」**と考えるようにしています。

ただし、写真を載せるだけでは何を見ればよいかわかりません。「この位置を確認」「この向きに取り付ける」など短い説明を添え、重要なポイントがすぐにわかるようにすることが大切です。

作った手順書は実際に別の人に作業してもらう

作業手順書が完成したら、自分で読み返すだけで終わらせず、できれば別の人にも確認してもらいます。

特に効果的だと感じるのが、実際に手順書を見ながら作業してもらうことです。

手順書を作った本人は作業内容を知っているため、多少説明が抜けていても頭の中で補いながら読めてしまいます。そのため、自分では抜け漏れに気づきにくいことがあります。

一方、その作業に慣れていない人が手順書を使うと、

「次は何をすればいいですか?」
「これはどこを確認するのですか?」
「この場合はどうすればいいですか?」

と、想定していなかったところで作業が止まることがあります。

私は、そこで出てきた疑問こそ手順書を改善するヒントだと考えています。

わからなかった人に口頭で説明して終わるのではなく、その説明が手順書にも必要ではないかを確認して追記・修正します。

作業手順書は作成した時点で完成ではありません。実際に現場で使い、迷うところを見つけて修正していくことで、より使いやすい手順書になっていきます。

作業手順書を作るときに避けたい3つのこと

作業手順書は、必要な内容が書かれていても、表現の仕方によって人それぞれの解釈が生まれてしまいます。特に次の3つには注意が必要です。

① 曖昧な表現を使う

「適切に締める」「十分に乾燥させる」などの表現は、人によって判断が変わります。数値や時間など明確な基準がある場合は、できるだけ具体的に記載します。

② 熟練者にしかわからない言葉を使う

現場では普段から使っている言葉でも、新人には伝わらないことがあります。専門用語や略語を使う場合は、意味が理解できる表現になっているか確認します。

③ 作業方法だけを書いて終わる

「○○する」という手順だけでは、正しくできたか判断できない場合があります。必要に応じて、作業後にどの状態なら正常なのかも記載します。

手順書を書く目的は、詳しい人に説明することではありません。読む人によって作業や判断が変わらない書き方を意識することが大切です。

トラブルやヒヤリハットが起きたら手順書を見直す

作業手順書は一度作ったら終わりではなく、トラブルやヒヤリハットが起きたときも見直す機会になります。

ヒヤリハットが発生したときは、手順書の見直しだけでなく、事実・原因・対策を整理して報告書に残すことも重要です。ヒヤリハット報告書の書き方はこちらの記事で詳しく紹介しています。

何か問題が起きると、「作業者が手順を守らなかった」で終わらせてしまいがちですが、それだけでは同じことが繰り返されるかもしれません。

「必要な作業が手順書に書かれていたか」
「注意点がわかりやすく記載されていたか」
「実際の作業と手順書にズレがなかったか」

といった視点でも確認することが大切です。

原因を調べるときは、「作業者が間違えた」で終わらせず、なぜその作業になったのかまで掘り下げることも大切です。私も原因がうまく見つからないときは、視点を広げながらなぜなぜ分析を進めるようにしています。

私もトラブル対応では、原因や対策を考えるだけでなく、既存の手順に反映すべき内容がないかまで確認するようにしています。

発生したトラブルを手順書の改善につなげることで、同じ問題を繰り返さない仕組みづくりにつながります。

また、実際にトラブルが発生した場合は、手順書を修正するだけでなく「何が起きたのか」「どのような影響があったのか」「原因と対策は何か」を整理しておく必要があります。トラブル報告書のまとめ方についてはこちらで紹介しています。

作業手順書の抜け漏れチェックにChatGPTを使う方法もある

作業手順書を作ったあと、「何か抜けていないだろうか」と不安になることがあります。そんなときは、ChatGPTを抜け漏れチェックの補助として使う方法もあります。

たとえば、作成した手順をもとに、

「この作業を初めて行う人が迷いそうな点を挙げてください」
「安全や品質の面で、確認が不足していそうな項目を挙げてください」

と質問すると、自分では気づかなかった視点を出してもらえることがあります。

ただし、私はChatGPTに作業手順書をすべて任せるのではなく、あくまで確認する視点を増やすために使うことが大切だと考えています。

実際の設備や作業方法、社内ルールを理解しているのは現場で働く人だからです。また、会社の機密情報や個人情報を安易に入力しないことにも注意が必要です。

ChatGPTから出てきた内容もそのまま採用せず、現場で実施できるか、実際の作業と合っているかを確認します。

私は品質不具合が発生したときにも、ChatGPTを使って報告書や手順書作成を効率化したことがあります。実際にどのように使ったのかはこちらの記事で紹介しています。

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最後に人が判断することを前提に使えば、手順書を見直すときの一つの手段になります。

まとめ|良い作業手順書は「初めて作業する人」を基準に作る

作業手順書を作るときは、自分がわかるかではなく、その作業を初めてする人でも迷わず作業できるかを基準に考えることが大切です。

まず実際の作業を細かく分解し、作業手順だけでなく、確認ポイントや注意点、異常時の対応まで整理します。文章だけで伝わりにくい部分には、写真や図を使うのも効果的です。

そして、作った手順書を実際に使ってもらい、わかりにくい部分があれば修正します。

一度作って完成と考えるのではなく、現場で使いながら改善を続けることが、抜け漏れの少ない使いやすい作業手順書につながります。

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