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「自分でやった方が早い」と思っていませんか?
「管理職になったけど、毎日仕事が終わらない…」
「部下に任せても、自分でやった方が早い。」
「結局、自分でやり直すことになる。」
管理職になったばかりの頃、このような悩みを抱える人は少なくありません。
実は私もその一人でした。
34歳で製造業の管理職になり、約40人の部下を任された当時は、とにかく目の前の仕事を終わらせることに必死でした。
部下に任せるより、自分でやった方が早い。
そう思い、毎日のように22時頃まで残業していました。
しかし今振り返ると、**あの頃の一番の失敗は「完璧を求めすぎて、自分で仕事を抱え込んでしまったこと」**です。
結果として、自分も苦しくなり、部下も育たず、家族との時間まで失ってしまいました。
この記事では、私が管理職1年目で経験した失敗と、その経験から学んだことをお伝えします。
もし今、管理職になったばかりで悩んでいる方がいれば、少しでも参考になれば幸いです。

管理職になって最初に陥った「プレイヤー思考」
私は管理職になるまで、プレイヤーとして仕事をしていました。
与えられた仕事を正確に、そして早く終わらせることが評価につながる環境です。
そのため、管理職になっても考え方はほとんど変わりませんでした。
「自分がやれば一番早い。」
「自分ならミスなくできる。」
「部下に任せるより効率がいい。」
そう考えていたのです。
もちろん、悪気があったわけではありません。
チームのため。
会社のため。
納期を守るため。
そう思って行動していました。
しかし、その考え方こそが、大きな落とし穴でした。
「自分でやった方が早い」は本当に正しかったのか

部下へ仕事をお願いすると、多くの場合、最初に返ってくる成果物は60点くらいでした。
「ここを修正してほしい。」
「この視点が抜けている。」
そう伝えると80点になります。
さらに細かい部分を確認して、ようやく提出できるレベルになります。
毎回そのやり取りを繰り返していると、次第にこんなことを考えるようになりました。
当時は本気でそう思っていました。
だから、
- 部下が作るはずだった資料を自分で作る
- 部下の仕事を自分で修正する
- 部下が対応するはずの案件も自分が対応する
そんな毎日でした。
仕事は確かに終わります。
品質も保てます。
でも、その代わりに失ったものがありました。
部下を信用していなかったわけではない
誤解してほしくないのは、私は部下を信用していなかったわけではありません。
むしろ、みんな真面目に仕事へ取り組んでくれていました。
ただ、経験が足りません。
私が10分で終わる仕事でも、部下は30分、1時間かかることもあります。
さらに、後から問題が見つかり、大きなトラブルにつながった経験もありました。
そのため、
「任せっぱなしにすると危ない。」
「最後は自分がやらなければ。」
という気持ちがどんどん強くなっていったのです。
今思えば、「部下を信じていなかった」というより、「失敗することを恐れすぎていた」のだと思います。
気づけば毎日22時退社
そうして仕事を抱え込む生活が続きました。
朝から会議。
現場対応。
部下からの相談。
品質トラブルへの対応。
資料作成。
そして、日中に終わらなかった仕事を夜に一人で片付ける。
気づけば毎日のように22時頃まで会社に残る生活になっていました。
帰宅すると、子どもはもう寝ています。
休日も、「月曜日の仕事が終わっていない」という焦りから、心のどこかで仕事のことばかり考えていました。
妻は、
「家のことは私に任せて。」
と言って支えてくれていました。
本当に感謝しています。
だからこそ、余計に申し訳ない気持ちもありました。
何より辛かったのは、子どもと過ごす時間がどんどん減っていったことです。
子どもの成長は一度しかありません。
それなのに私は、その大切な時間を仕事に費やしていました。
そしてある日、ふとこんなことを考えました。
「自分は何のために働いているんだろう。」
仕事のために家族との時間を失い、毎日疲れ切って帰宅する。
本当にこれが管理職として正しい姿なのだろうか。
そう考えるようになったことが、私が変わるきっかけになりました。
なぜ部下は育たなかったのか
今振り返ると、当時の私は「仕事を終わらせること」を優先しすぎていました。
部下に仕事を任せても、途中で気になって自分で修正してしまう。
最後は結局、自分が完成させる。
これでは部下は経験を積めません。
管理職になる前は、「経験を積めば人は成長する」と頭では理解していました。
しかし、自分が管理職になると目の前の仕事に追われ、その大切なことを忘れてしまっていたのです。
もちろん、仕事ですから失敗してはいけない場面もあります。
品質や安全に関わる仕事では、管理職が最後まで責任を持つ必要があります。
だからといって、すべてを自分でやってしまえば、部下はいつまで経っても成長しません。
そして、自分自身もずっと忙しいままです。
その頃の私は、「仕事は終わっているのに、なぜこんなに苦しいんだろう」と感じていました。
原因は、自分で仕事を増やしていたことに気付いていなかったからです。
考え方を変えたきっかけ
転機になったのは、「管理職の仕事は、自分が成果を出すことではない」と気付いたことでした。
管理職の仕事は、部下を育て、チームとして成果を出すことです。
この当たり前のことに気付くまで、私はかなり遠回りをしました。
そこからは考え方を少しずつ変えるようにしました。
まず意識したのは、「80点でも任せる」ということです。
最初から100点を求めない。
多少時間がかかっても、自分で考えてもらう。
分からないところだけ一緒に考える。
そして、最後は必ずフォローする。
以前は60点の成果物を見ると、「もう自分でやろう」と思っていました。
しかし、その60点を80点にするために何が足りないのかを説明し、部下自身に修正してもらうようにしました。
すると、少しずつですが部下の成長を感じられるようになりました。
一度経験したことは、次から一人でできるようになります。
そして、その積み重ねが大きな成長につながることを実感しました。
失敗は成長するために必要だった
今では、「失敗しないこと」が一番大切だとは思っていません。
もちろん、品質や安全に関わる重大なミスは防がなければなりません。
しかし、それ以外の失敗であれば、管理職がフォローできる範囲で経験させることも必要だと考えています。
私自身もそうでした。
若手の頃に失敗した経験は、今でもよく覚えています。
逆に、自分で考えずに誰かが全部やってくれた仕事は、あまり記憶に残っていません。
部下も同じです。
少し失敗して、原因を考え、改善する。
その経験こそが、本当の意味で力になります。
だから今は、必要以上に失敗を恐れなくなりました。
「管理職がフォローすればいい。」
そう考えられるようになったことで、自分自身の気持ちもかなり楽になりました。
部下に任せるようになって変わったこと

仕事を任せられるようになると、不思議なくらいチームが回り始めました。
以前は何でも私に確認していた部下も、自分で考えて行動する場面が増えてきました。
部下から改善案が出てくることもあります。
「こうした方が効率がいいと思います。」
そんな提案を受けることも増えました。
これは、自分だけで仕事を抱え込んでいた頃には考えられなかったことです。
私自身も、管理職として本当にやるべき仕事に時間を使えるようになりました。
部下の育成。
現場の改善。
将来を見据えた取り組み。
管理職にしかできない仕事へ時間を使えるようになったことで、仕事全体もうまく回るようになりました。
そして何より、以前より早く帰宅できる日が増えました。
子どもと遊ぶ時間。
家族で食卓を囲む時間。
そうした当たり前の日常を取り戻せたことが、私にとって一番大きな変化だったと思います。
管理職になったばかりの人へ伝えたいこと
もし今、管理職になったばかりで、
「自分でやった方が早い。」
そう思っている人がいたら、その考え自体は間違いではありません。
実際、自分でやった方が早い場面はたくさんあります。
私も今でもそう思うことはあります。
しかし、その選択を毎日続けてしまうと、部下は育たず、自分もずっと忙しいままです。
短期的には正解でも、長期的にはチーム全体の成長を止めてしまうことがあります。
だからこそ、少し勇気を出して任せてみてください。
最初は60点でも構いません。
一緒に考え、フォローしながら80点、90点へ近づけていけばいいのです。
管理職は、自分一人が100点を出す仕事ではありません。
チーム全体で100点を出せるようにする仕事です。
私はこのことに気付くまで、かなり時間がかかりました。
だからこそ、同じように悩んでいる管理職の方には、私と同じ遠回りをしてほしくありません。

まとめ
管理職になって初めて後悔したこと。
それは、「自分でやった方が早い」と思い込み、仕事を抱え込んでしまったことです。
その結果、毎日22時まで残業し、家族との時間を失い、部下も成長しませんでした。
しかし、その失敗があったからこそ、今は「部下を育てることが管理職の仕事」だと心から思えるようになりました。
部下に任せることは、決して手を抜くことではありません。
部下を信じ、考えさせ、必要なときにフォローする。
それが管理職としての本当の役割なのだと、私は実体験を通して学びました。
もし今、一人で仕事を抱え込み苦しんでいるのであれば、今日から少しだけ部下に任せてみてください。
その一歩が、あなた自身の働き方だけでなく、チーム全体の成長につながるはずです。