管理職になると、自分の仕事だけをやっていればいいわけではありません。
部下に仕事を任せながら、チーム全体の仕事を回していく必要があります。
頭では分かっていても、私はなかなか仕事を任せることができませんでした。
「自分でやった方が早い」
「任せても結局、修正することになる」
「失敗したら最後は自分が責任を取らないといけない」
そんなことを考えて、気づけば自分で仕事を抱え込んでいました。
しかし、今振り返ると、この働き方を続けることには大きな問題がありました。
この記事では、部下に仕事を任せられなかった私が、なぜ仕事を抱え込んでしまったのか、そこからどのように考え方や任せ方を変えていったのかを、製造業で管理職をしている私の実体験をもとに紹介します。
私が仕事を抱え込むようになった背景には、管理職になってもプレイヤー時代と同じ感覚で仕事をしていたことがありました。管理職1年目に何がつらかったのかはこちらの記事で詳しく書いています。
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管理職1年目がつらい理由|プレイヤーとの違いに悩んだ実体験
管理職になれば、これまでの経験を活かして仕事を進められる。私も管理職になる前は、どこかでそんなふうに考えていました。 しかし、実際に管理職1年目を経験してみると、思っていた以上につらいと感じる場面が増 ...
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目次
部下に仕事を任せられず、全部自分で抱え込んでいた
管理職になったばかりの頃、私は部下に仕事を任せることが苦手でした。
一番大きかったのは、「自分でやった方が早い」と思っていたことです。
例えば、自分なら1時間でできる仕事を部下にお願いして、出来上がったものを確認すると、自分の感覚では60点くらい。
「ここをもう少し直してほしい」と伝えて、もう一度確認すると80点。さらに気になるところを修正して、ようやく自分が納得できる状態になる。
そんなことを繰り返していると、
「説明して、確認して、修正をお願いするくらいなら、最初から自分でやった方が早い」
と思うようになりました。
しかも、管理職になると自分が最終的に責任を持つ仕事も増えます。部下に任せて問題が起きるくらいなら、自分でやった方が安心だという気持ちもありました。
その結果、本来なら部下に任せてもいい仕事まで自分でやるようになっていきました。
当時の私は、それを「責任を持って仕事をしている」と考えていた部分もあります。
もちろん、急ぎの仕事など、自分でやった方がいい場面もあります。
ただ、いつも「自分でやった方が早い」で済ませていると、いつまで経っても仕事を手放せません。
私はそれに気づかないまま、少しずつ自分の仕事を増やしていました。
私が管理職1年目に仕事を抱え込み、毎日のように遅くまで残業していた頃の失敗については、こちらの記事で詳しく書いています。
→ 管理職になって後悔したこと|「自分でやった方が早い」で仕事を抱え込んだ結果
仕事を抱え込むほど、むしろ仕事が回らなくなった
「自分でやった方が早い」と仕事を抱え込んだ結果、私の仕事はどんどん増えていきました。
特にきつかったのは、自分が担当する仕事に加えて、本来なら部下に任せられる仕事までやっていたことです。
一つひとつはそれほど大きな仕事ではなくても、積み重なるとかなりの量になります。管理職になったばかりの頃は、毎日のように遅くまで残業していました。
それでも仕事が減るわけではありません。
むしろ、自分で仕事を抱えるほど部下が経験する機会は減っていきます。経験しなければ、次も安心して任せることができません。
「任せるのが不安だから自分でやる」
↓
「部下が経験できない」
↓
「いつまでも任せられない」
↓
「さらに自分の仕事が増える」
完全に悪循環でした。
さらに問題だったのは、目の前の作業に追われ、部下のフォローや仕事の進捗確認など、管理職として本来やるべきことに十分な時間を使えなくなったことです。
自分ではチームのために頑張っているつもりなのに、結果として「自分がいないと仕事が回らない状態」を作ってしまっていました。
私が「部下に任せよう」と考え直したきっかけ
考え方を変えるきっかけになったのは、「この働き方をずっと続けるのは無理だ」と感じたことでした。
自分が頑張って仕事をこなしても、翌日になればまた新しい仕事が増えます。
しかも、自分一人が頑張って処理できる仕事量には限界があります。
そこでようやく、「自分がたくさん仕事をすること」と「管理職としてチームの仕事を回すこと」は違うのではないか、と考えるようになりました。
部下に任せれば、最初は説明や確認に時間がかかります。思った通りにいかず、自分でやった方が早いと感じることもあります。
それでも、そこで自分がやってしまえば、次も同じ仕事を自分が抱えることになります。
目の前の1回だけを見れば、自分でやる方が早い。
でも半年後、1年後を考えれば、少しずつでも部下に経験してもらった方が、チームとしてできる仕事は増えていく。
そう考えるようになってから、私は少しずつ「自分でやる」から「部下に任せる」へ変えていきました。
抱え込みをやめるために私が変えた3つのこと
仕事を任せようと考え直しても、いきなり何でも部下に任せられるようになったわけではありません。
私の場合、特に次の3つを意識するようになってから、少しずつ仕事を手放せるようになりました。
① 最初から100点を求めない
一番変えたのは、部下に自分と同じ100点を求めないことです。
以前の私は、部下が作った資料などを見ると、自分のやり方と違う部分が気になり、細かく修正していました。
しかし、よく考えると「自分ならこうする」というだけで、仕事の目的は十分に達成できていることもあります。
そこで、まずは「この仕事で本当に必要なレベルはどこか」を考えるようにしました。
もちろん、品質や安全に関わる仕事など、妥協してはいけない部分はあります。一方で、やり方や表現まで全部自分と同じにする必要はありません。
任せる仕事によって、求める完成度を分けることが大切だと感じています。
② 任せるときに「完成形」を伝える
部下に任せた仕事が思った通りにならないとき、部下だけに原因があるとは限りません。
振り返ってみると、私自身が「これお願い」とだけ伝えて、頭の中にある完成形をきちんと説明できていないこともありました。
そこで今は、仕事を任せるときに「何のためにやるのか」「いつまでに必要なのか」「どこまでできれば完成なのか」をできるだけ伝えるようにしています。
特に目的を伝えておくと、途中で判断が必要になったときも、部下自身で考えやすくなります。
任せる側の伝え方を変えるだけでも、完成したものとのズレは減らせると感じました。
③ 任せっぱなしにせず、途中で確認する
もう一つ意識しているのが、最後まで完全に任せっぱなしにしないことです。
以前は「任せたのだから最後までやってもらおう」と考えることもありました。しかし、完成してから方向性が違うと分かれば、大きな手戻りになります。
そこで、初めて任せる仕事や難しい仕事ほど、途中で一度確認するようにしました。
方向性が合っていればそのまま進めてもらい、違っていれば早めに修正する。
「任せる=放置する」ではありません。
最初からすべて自分でやるのでもなく、完全に丸投げするのでもなく、必要なところだけ確認しながら最後までやってもらう。このやり方に変えたことで、私自身も以前より安心して仕事を任せられるようになりました。
部下に任せることで、自分の仕事も部下も変わった
仕事を少しずつ任せるようになると、自分の働き方にも変化が出てきました。
まず、本来管理職としてやるべき仕事に時間を使いやすくなりました。
すべての作業を自分で抱えていた頃は、目の前の仕事を終わらせるだけで精いっぱいでした。しかし、部下に任せられる仕事が増えると、仕事の進捗を確認したり、問題が起きる前にフォローしたりと、チーム全体を見る時間を作れるようになります。
そして、部下にも変化がありました。
最初は確認が必要だった仕事でも、何度か経験すれば、次からは細かく説明しなくても任せられるようになります。自分なりに考えて進めてくれる場面も増えました。
もちろん、任せればすぐに何でもできるようになるわけではありません。失敗したり、思った通りにならなかったりすることもあります。
それでも、その経験を一つずつ積み重ねることで、「次はこの仕事も任せてみよう」と思える範囲が少しずつ広がっていきました。
任せた仕事がうまくいかなかったときに気をつけていること
部下に仕事を任せていると、当然うまくいかないこともあります。
そんなときに私が気をつけているのは、結果だけを見てすぐに注意しないことです。
まずは「なぜそうしたのか」「どこで判断に迷ったのか」を確認します。話を聞いてみると、こちらの説明が足りなかったり、途中で相談しにくい雰囲気を作っていたりと、任せる側にも改善できる点が見つかることがあります。
また、改善点を伝える「場所」にも注意するようになりました。
私は以前、研修の成果発表で部下にアドバイスを求められ、みんなの前で改善点を伝えてしまったことがあります。内容としては間違っていないつもりでしたが、本人をひどく傷つけてしまいました。
このときの失敗については、**「部下を人前で注意して失敗した話」**で詳しく書いています。正しい内容でも、伝える場所によって受け取られ方が大きく変わると痛感した経験でした。
この経験から、仕事の改善点や注意する内容は、できるだけ1対1で伝えるようにしています。
仕事を任せる以上、失敗や修正が必要になることもあります。そこで「やっぱり自分でやろう」と仕事を取り上げるのではなく、次はどうすればうまくいくのかを一緒に考えることが大切だと感じています。
部下に仕事を任せる前の準備も大切だった
仕事を任せるようになって感じたのは、「誰に任せるか」を考えることも管理職の大切な仕事だということです。
部下によって、得意なことや苦手なこと、経験してきた仕事は違います。さらに、今どれくらい仕事を抱えているのかも確認しなければなりません。
私は普段の会話や面談を通して、本人が困っていることや今後挑戦してみたいことを聞くようにしています。
そのうえで、「この仕事なら任せられそう」「今後のために経験してもらいたい」と考えて仕事を振り分けます。
単に自分の仕事を減らすために渡すのではなく、部下の成長も考えて任せる。
そのためにも、日頃から部下の状況を知っておくことが大切だと感じています。
部下面談については、以前は準備不足でただの雑談に終わってしまったこともありました。現在私が面談前に準備していることや、聞くときに意識していることは**「部下面談は何を話す?管理職の私が準備していること」**で詳しく紹介しています。
まとめ|管理職が全部やるのではなく、チームで仕事を回す
「自分でやった方が早い」という感覚は、今でもあります。
実際に、自分でやった方が早い仕事もあります。
しかし、それを理由にすべて抱え込んでしまうと、自分の仕事は増え続け、部下が経験する機会も作れません。
私自身、仕事を抱え込んでいた頃は、管理職なのに「自分がどれだけ仕事をこなすか」ばかりを考えていました。
今は、自分が全部やるのではなく、部下に任せ、必要なところをフォローしながらチームで仕事を回すことを意識しています。
いきなり全部手放す必要はありません。まずは一つ、「これは任せられるかもしれない」と思う仕事から始めてみてはいかがでしょうか。


